文化・芸術

2015年6月23日 (火)

音楽界のスティーブン・キング

ゾッとする未知への怖れが覗き見するエピローグに始まり、心臓を抉られるようなドキドキ感がヒートアップして、人間の内面を剥き出しにした先にあるドラマチックな感動の衝撃に打ちのめされるエンディング❗️
アメリカのホラー作家スティーブン・キングを音楽で表現したらこんな風かもと思わせられる、その名もシュテファン・ケーニッヒ(Stephan Koenig ドイツ名でスティーブン・キングの意)である。
今月のライプツィヒ・バッハ音楽祭でのことだ。この日が初演だった。
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バッハ時代とは程遠い現代音楽。


途中どうなることかと思われた奇妙なザワつき調のメロディーがあるにはあるけれど、盛り上がってとても面白い感動的な合唱曲で、拍手喝采のスタンディングオベーションで終えた。
現代曲も機会があったら聴いてみると、全く新しい感動に出会えて、とても得した気分になれる。

次の日、同じ教会でBuちゃんが彼を見かけ「昨日のスティーブン・キングじゃない? 髪型特徴あるし」と教会の写真を撮りながら教えてくれた。
私は思い切って「スティーブン・ケーニッヒさんですか」と声をかけた。おいおい、名前が混じっちゃってるよ、なんてことは微塵もなく、「そうです」と即答が。
夢中で演奏の感想を伝えてしまったが、曲のダイナミックさからは想像出来ない、笑顔の優しい、とても穏やかな雰囲気の方だった。

記念に一緒に写真を撮ることも、快くOKして下さった。それだけでなく、わざわざ「あそこの方がいいよ」とバッハの銅像の前まで移動して下さった。
感激した曲の作曲者に会えるなんて、今回の旅行で最も記念になった。
音楽祭のCDが発売されることがあるようなので、期待したい。

2015年3月25日 (水)

心洗われる透明な春の光



五十嵐吉彦先生と会員方の水彩画展を見てきました。
さらっとしたタッチで、木々や水面が描かれ、眩しい暖かさに心が洗われるようでした
最近参加した友達(というには人生の大先輩なので、図々しいのですが)、彼の解説を楽しみながら、たくさんの作品に感動してきました。

基本はペンで輪郭が描かれ、色が鮮やかに塗られています。友達は一枚タッチを変えて、雪山の風景を柔らかに表現していました。紙はA4くらいの絵ですが、とても広々とした大きな風景が感じられて、感激しました。

さらに、今月がお誕生日という友達にケーキまでご馳走して頂いちゃいました。おしゃれで美味しくて、胃袋も洗われました。
たくさん嬉しいことも言って下さって、完全プラス思考です。どうもありがとうございます

きっと明日も晴天ですね

2014年8月 5日 (火)

15歳の美少女で、全国水墨画展にトライ

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どんな凄い先生でも、墨の動きを完全にコントロールは出来ないという。
思いもよらない流れや滲みが味わいとなって世界に一つの美を生み出す。
というわけで、その良さを活かせない初心者さんは、偶然が頼り。
なので、部分的に練習の方がうまく行っちゃったりするのだ。

今年も全国水墨画展に出品し、ありがたいことに苦労が実って昨年と同じ賞を頂いた。出品作は唇真っ赤(というか真っ黒)で、自分ではどうにも気持ち悪い。画像は練習作品の部分。この唇の色のほうが優しい色だったなぁと。

練習の方は紙のにじみに負けず、目の中の光が偶然残った。出品作は滲んでしまった。

花嫁衣装を纏った少女の胸は真珠とスパンコールが重なりあうように飾られていた。私の技術では不可能な題材だった。
そこで、パンチングの丸い紙を置いて、網ぼかし(金網をブラシで擦って墨を飛ばす技法)を使ってみた。
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これは白を残そうとすればするほど周りを黒くすることになり、色の加減が難しく、花嫁の胸は吸血鬼に噛まれた飛沫血痕状態に 

仕方なく描きなおした。唇は濃すぎて、睫毛は長すぎて、美少女がけばけばしくなってしまったが、それでも、血飛沫よりはましだろう。

他のたくさんの美しい作品で墨の涼しさを感じたい。
第21回 全国水墨画展 8月6日~18日 (火曜休館)
国立新美術館 3階3B展示室 入場無料
オルセー美術館展バレエ・リュス展のついでに覗いてみて下さい。

(モデル:グルジア少年少女舞踏団の15歳の少女団員)

2014年3月11日 (火)

スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)

Sorawo_201403f「面白いからぜひ」と誘われて初スーパー歌舞伎を体験した。
春らしい華やかで明るい舞台、衣装もパステルカラーで、長めの挨拶から笑いを取り、普段の歌舞伎よりもせりふが聞き取りやすく、現代風ジョークも入り、話もわかりやすかった。

11時から午後3時半まで、お弁当休憩はあるものの、長さを感じさせずに物語は進んでいく。
仏の木彫を作る仏師となった少年が、一時は盗賊と一緒になり道を外すも、仏を彫ることの真の意義を見出していく話だ。

毎度ながら、男性が演じる女性に微かな混乱を覚え(慣れない人は全員が志村けんのように聞こえるかも)、今回女性かと疑ってしまうほど、限りなく女性に近い女形たちだった。中でも盗賊の女首領役の市川笑也さんは、声も外見も宝塚の男役かと思うほど、かっこいい女性。笑也さんはもちろん男性だ。この微妙な曖昧さが完璧な女性美を表現してるのだ。

途中、動きがあまりなく静かなシーンはあるものの、最後に向かってこれでもかと盛り上がる勢いで、舞台で飛び回り、予想をはるかに超えた雪、2階まで飛んでくる驚くべき立体的な演出、2階席の方がわかりやすい高低差を利用した迫力に感激した。

2014年2月 5日 (水)

テーブルウェア・フェスティバル2014

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食器もディスプレイも、奥が深い芸術作品。
世の中にこんな美しい物があったのかと、大勢がのぞき込み、写真を撮り、買い物をして楽しんでいました。
料理が盛られた写真も飾られていて、「これで食べてみたい」と思う作品ばかりでした。

漆の伝統工芸に人だかりができていて、まだまだ日本人の見る目は捨てた物ではないと感動しました。

アフタヌーンティー・ディスプレイでは、遊園地のようにケーキが楽しく積み上げられているものも。一日では見きれない、美の競演です。
(写真:和のセッティングの漆細工。放射状に色が輝いていた)

2014年1月18日 (土)

墨の輝き

Photo篠原貴之先生の展覧会

黒い墨で明るい光が描かれた透明な世界。不要な物がそぎ落とされた光りの絵。
神業的な技術に吸い込まれながらも、輝く奥の深い静けさに、慌ただしい心が自然と落ち着いていく。

墨は茶墨。30年ほど前の物だそうだ。使われている膠(にかわ)が今の物とは違うのだとか。紙は和紙ではなく、版画用のドイツの画用紙、絹ではなく綿など、下地にもいろいろ工夫がされているらしい。

材料や描き方など、質問攻めにしたところで、その答えは遙か彼方にある才能と技術の集大成から来ている。

こんなふうに、毎日感動できたら幸せだなぁ。
(画像:絵はがきの絵。渋谷Bumkamura 1Fボックスギャラリー)

2013年10月 9日 (水)

水彩画のような透明感 竹内栖鳳

Photo竹内栖鳳展

水墨画は細かく濃く描くのに技術が必要だが、絹の下地を思うままぼかすほうがもっと技が必要だ(と思う)。水墨画では神業に近い、まるで透明水彩のような柔らかなぼかしと、鮮やかな色で描かれた絵は、見たことのない静寂美として感じることができる。

人物は苦手だったのか、マンガチックなものや、顔を隠している絵も。しかし、動物はリアルでとても愛らしい。風景は静かに輝いて、何時間でもそこにいたくなるほどだ。

彼の絵を下絵として、刺繍や染色を施した布も並べられていた。布と知って驚愕するほど正確に再現されている。そのうちの大きなベニスの風景画の絵は大英博物館所蔵品なのが悔しいような羨ましいような。
(写真:おみやげの熊の絵はがき)

2013年8月21日 (水)

『飛ぶ飛べば飛べ』

Photo_4全国水墨画展、両親も来てくれました。
素通りした父:「どこだ? 写真とったらすぐ行くぞ」
(ってどこへ?写真は禁止だよ)
絵を見つけた母:「うわぁ 気持ち悪い」
(実は私もちょっとそう思う
大きな美術館に飾られるなんて、人生でそうない機会。二人の好みの絵ではないとあらかじめ忠告はしました。展覧会用はインパクトが強いんです。

「水墨画は、墨の物語を読むんですよ。心を見るんです」と審査員の篠原貴之先生。
昔、一人でホームステイしてた時の子供の写真をモデルに、「この子はどうしたかな」とか、「今の子にも、羽ばたいて欲しいな」とか、「最近の自分は石橋を作ろうか考えてるだけで、行動できずに終わっちゃってるなぁ」と自分への叱咤激励も込めたタイトル
飛ぶ 飛べば 飛べ』でした。Photo_6
(本当は、このタイトルのうち、ひとつにするつもりでしたが、締め切りが来て、選ぶの忘れて慌てて提出しちゃったため、くっついて発表されてしまいました7文字以内という制限ギリギリでした。)
今回は、絵に込めた気持ちを、審査員方が感じ取ってくれたのかなと思います。


飛び続けて地面に足がついたことなんてなさそうな父、趣味の一人旅に反対した母、二人には無縁の絵です。
迷ってる暇なんかありません。すぐ飛ばなくては!

暑い中、見に来てくださったみなさま、この記事を読んでくださったみなさま、どうもありがとうございました。(写真は身内だけ許可されていました)
写真:絵のほんの一部分(人間が気持ち悪いかも知れないから)

2013年8月 4日 (日)

『簡単に諦めちゃいけない、でも』

Dsc00274簡単に諦めちゃいけない。でも、どうやって見極めるの?どこまで攻め続けてどこで諦めるか・・・』その見極めが見えてきた小児外科医のアリソンは、しっかりと頭を上げて話していた(アメリカ医療ドラマ『プライベート・プラクティス』)

答えは、自分の努力に満足を覚えたときだ。自分で納得がいき、他の方向へ行かなくてはならないと知るとき、思うところはあっても、未練を断ち切る決心ができる

先日、水墨画教室のみなさんと一緒に絵を出品した。相当な気合いで臨んだが、ベテランさんたちほど技術がないので、「これ以上描くのはもう無理」という限界に.。思うように仕上げられない不甲斐なさはあるけれど、「これが今の自分にできる精一杯の実力」と受け入れたとき、不思議と未練は消えて、充実感が感じられた。
「特選」の知らせが今日届いた。努力は報われると実感できて、とても嬉しく思った。

墨の濃淡だけで表現される、絵のずっと奥まで感じられる究極の世界もし機会があったら感じて欲しい。
第20回 全国水墨画展 国立新美術館 平成25年8月7日(水)~8月19日(月)

写真:いつできあがるかと思われていたサグラダファミリア大聖堂。完成するまで建築は続くが、日本人により画期的なデザインが発案され急ピッチとなった。

2013年7月14日 (日)

神業ならぬ、”紙”業、兎が蟹に?!

Photo先生「きょうは新麻紙(しんまし)に描いていてみましょう 
その名の通り、麻のように固くしっかりした紙だ。

先生「滲みが特徴の紙です。思いがけない滲みを楽しみましょう
紙に墨が落ちると、ハンパじゃない滲みが広がっていく。どれくらい滲むかというと、兎を描くと蟹なってしまうくらいなのだ。筆に含ませる墨の分量が調節できない初心者には、拷問のような紙である。そのうえ、お手本はこれでもかと超繊細に絹に描かれた山の絵『山靄(さんあい)』

先生は、30過ぎの女性。お教室で一番若かった。若さは冒険を好み、失敗を恐れない。
ベテランさん達は、暴れ回る滲みを物ともせずに、なだらかな線を描いていく。

ちょっと先輩「うわぁ、これ滲みますねぇ
私「ぎょえ~っ ボタッと落ちちゃいましたぁ
先生
「大丈夫 ちょうど木に見えますよ
ちょっと先輩「
あー!この紙、難しい
私「うっそーっ ぐわ~って、こっちまで行っちゃいましたぁ
先生「いい感じですよ この滲むの面白くないですか? 私は好きなんですよね


およそ静かなイメージの水墨画とはほど遠い叫び声が響き続けた。
尾形光琳からの流れを次ぐ琳派の世界、古き良き静かなる過去の芸術かと思ったら大間違い。次々と新しい技法や特殊な道具、珍しい紙などに挑戦していくのだ。
(写真:模写した『山靄』)